来春施行予定の会社法に先駆けてLLP法が本日施行されました。LLPとは、Limited Liability Partnershipの略で、有限責任事業組合などと訳されていますが、その名の通り個人でも法人でもなく、会社と組合の良い部分を備えた形の新しい組織形態で、専門知識や技術を持つ個人が集まり事業を行う場合や大会社と提携して事業を行う場合などに適しているとされており、既に欧米では同様の組織が活用されています。
LLPには次の特徴があります。
- 組合員となる出資者が出資額までしか責任を負わない有限責任を確保している
- 出資金額の比率に拘束されずに組織事業の利益を組合員に配分することができる
- 取締役会や監査役に代表される監視機関の設置が強制されない
- LLPはあくまでも組合という事業体であるため、出資者である組合員の共同事業性が保持されることから、LLPが法人課税を受けることはなく、組合員に直接課税される(パススルー)
具体的には、甲さんの技術を評価した乙企業が全額出資して丙LLPを作った場合、株式会社であればその出資割合に応じて利益が配分される(配当)ので乙企業しか受けられないところが、損益配分を50%ずつと決めれば甲さんも利益の半分を受け取ることができます。
又、この甲さんが受け取る利益は他に所得がある場合にはその所得と合算して確定申告を行うことになりますが、丙LLPが赤字の場合はこの赤字分(損失分)もやはり利益と同様の割合で配分され他の所得と通算(差引)して課税されるので納税額が抑えられることにもなります。
来春には最低資本金を撤廃して1円でも株式会社が作れる会社法やLLPに似たLLC(Limited Liability Company)と言う組織の導入も予定されており、法人格の有無なども含めてどのような事業を行うからどのような組織にするのが有利であるかを検討する必要があるようです。
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