込江保次税理士事務所■横浜市栄区・鎌倉市大船

2006年04月の記事

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2006年4月14日(金) 11:08

シリーズ新会社法□会社の分類と機関設計の自由化

会社法においては有限会社は廃止されて株式会社に統合されました。一口に株式会社と言っても実質的には社長お一人の会社から世界の有名大企業までさまざまですので、会社法では株式会社を次の2つの方法により分類しています。
大会社か中小会社(大会社以外の会社)か
大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上又は負債総額が200億円以上の会社をいい、上場されているか否かは関係がありません。そして大会社は会計監査人の設置が義務付けられており、会計監査人を設置するためには監査役又は監査役会か三委員会のいずれかを設置しなければなりません。
公開会社か非公開会社(公開会社以外の会社)か
取締役会等の承認を受けることなく発行する株式の全部又は一部を譲渡することができる会社を公開会社といい、公開会社には取締役会の設定が義務付けられております。

「機関」とは、簡単に言えば会社を動かすための組織のことで、その基本的な構成は最高意思決定機関である「株主総会」、業務執行機関である「取締役」、監査機関である「監査役」になるかと思います。それが会社法ではかなり自由に決めることができるようになり、すべての組合せは何通りあるのかわからないほどです。
このシリーズでは中小事業者や個人事業主を対象としておりますので「大会社以外の非公開会社」に絞ってみますと、一番簡素な機関は現行の有限会社と同様に「取締役」だけの場合です。これに計算書類の信頼性を高めるなどの目的で「監査役」や「会計参与」を追加したり、取締役を3名以上として「取締役会」を設置することが考えられます。

「会計参与」はすべての場合に設置をすることが可能ですし、「監査役」や「委員会」を設置した場合にはそのお目付役として「会計監査人」を置くこともできます。
「取締役会」を設置する場合には、「監査役」(若しくは「監査役会」)又は「会計参与」を必ず設置しなければなりませんし、「委員会」を設置したりすることもできます。
これらの組合せをまとめると以下のようになります。

取締役(+会計参与)
取締役+監査役(+会計参与)
取締役+監査役+会計監査人(+会計参与)
取締役会+監査役(+会計参与)
取締役会+監査役+会計監査人(+会計参与)
取締役会+監査役会(+会計参与)
取締役会+監査役会+会計監査人(+会計参与)
取締役会+会計参与
取締役会+委員会+会計監査人(+会計参与)
※ 上記のいずれの場合にも更に「会計参与」を設置することができます

これから会社の設立をされる場合は勿論ですけれども、既に存在している会社についても会社法施行以後(平成18年5月1日以後)にはその「機関」を適したものに再編成を行うことができるわけですので、決算後の定時株主総会の際などに一度はご検討されることをお薦めいたします。

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2006年4月13日(木) 09:48

シリーズ新会社法□会社設立が容易に

会社法が施行されたことより新たに株式会社を設立することが今までと比べて容易になりました。具体的には以下のような項目が改正となります。
最低資本金
最低資本金制度が撤廃したことにより、これまでは設立時に株式会社の場合には最低でも1000万円と言う大金でしたけれども、それが資本金1円でも株式会社を設立することができるようになります。ただし資本金は会社の規模や信用を示す数字ですし、本当に1円では設立登記に必要な15万円の登記印紙代を払うことができませんのでやはり相応の資本金は必要でしょう。
類似商号規制
同じ市区町村内での同一営業目的の会社は類似した商号の登記をすることができない類似商号規制などがなくなったことにより、公証人役場での定款認証の前に法務局にて類似商号の確認を行う必要がなくなります。しかし同地区の同業社から訴訟等を受ける可能性はありますので、商号(法人名)を決める際はある程度の事前確認は必要になると思います。
払込金保管証明
昨今の法人の設立に際して一番問題となっておりました金融機関に発行してもらう株式の払込金保管証明が、発起人だけの出資によって会社が設立される発起設立の場合には金融機関の残高証明書によることが可能となりますので解決されます。
少額現物出資の制限の緩和
今までも資本金の5分の1以下の範囲内で500万円以下の現物出資については検査役の調査などが不要でしたけれども、会社法では単純に「500万円以下」となりますので、時間も費用も大幅に節約できることになります。
原始定款の記載事項
今まで原始定款に記載しなければならなかった「会社が発行する株式の総数」や「会社設立に際して発行する株式の総数」は会社成立の時までに決定すれば良いことになりますし、「公告の方法」も定款に定めなくても良くなります。ただし、定款に定めがない場合には官報公告によることになります。

来年にはいわゆる一人会社の役員報酬についてその一部を経費と認めないという法人税法の改正が行われますので、現状個人事業として行ってこられたものをそのままの形態で法人成りするのでは節税目的としましては難しいようですし、簡単に会社を作ることができるようになるとは言いましてもやはりいろいろなことを検討されることが大切です。

また登記に関しましてはインターネット登記情報提供サービスでも確認できますので、商号の検索などにご利用してみてください。

※ 決算公告について
株式会社は定時株主総会の終結後貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告しなければなりませんが、中小会社が官報又は日刊紙に公告をする場合には貸借対照表の要旨だけでよく、現行の有限会社のまま有限会社を商号とする特例有限会社ならば公告義務自体がありません。又、ホームページでの公告も可能ですけれども、この場合には定款にそのホームページのURLを記載しなければなりませんし、かつ5年間継続して公開をしなければなりません。
ご参考までに官報掲載の場合の料金は、2枠で59,126円、3枠だと88,689円ですので、金額だけを考えるならばホームページを利用するのが良いようですけれども、貸借対照表の要旨ではなくすべてを5年間継続して公開しなければなりませんのでどちらが良いかは難しいところです。
決算公告は株式会社の義務ですので、合同会社については不要です

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2006年4月12日(水) 17:57

シリーズ新会社法□「新会社法」って何?

現在「会社法」と言う名の法律はなく、「商法第2編(会社)」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)」及び「有限会社法」を統合して新たに「会社法」としてつくられたもので、平成17年6月27日に公布され、平成18年5月1日施行される全979条からなります。

この会社法の主な特徴だけでも以下のように多岐に渡る内容があります。
口語体表記
「本法ニ於テ会社トハ商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団ヲ謂フ」(商法第52条)のような文語体が「会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる」(会社法第1条)のように口語体表記となり、非常に読みやすく又わかりやすくなります。
有限会社の株式会社への統合
会社法の施行により有限会社が設立できなくなり、以後はすべての会社組織(合同会社を除く)は株式会社しか設立することができなくなります。
最低資本金制度の撤廃
通常の設立の場合、株式会社は1000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金が必要でしたが、最低資本金制度が無くなり資本金1円でも株式会社を設立することができるようになります。
会計参与制度の創設
これまでも株式会社には設置しなければならなかった監査役とは別に、新たに会社の内部機関として取締役とともに会社の計算書類を作成する任務を負う会計参与という役員を設置することができるようになります。
機関設計の自由化
これまでの株式会社では取締役3名以上、監査役1名以上を設置しなければなりませんでしたけれども、有限会社のように取締役1名だけでも株式会社を経営できるなどその会社の機関を会社自身で自由に決めることができるようになります。
定款自治の徹底
機関設計の他、株式譲渡の制限の有無、役員の任期や責任の範囲、株主総会の招集や議決権に関することなども、その会社自身で決めることができるようになると同時に、定款に記載することにより徹底させる必要があります。
合同会社制度の創設
日本版LLC(Limited Liability Company)と呼ばれる法人格を持ちながらも出資者の合意によって内部組織や利益配分の方法などをかなり自由に決めることができる合同会社や、既に昨年8月に先行して施行されたLLP(Limited Liability Partnership)と呼ばれる法人格を持たずに組合の構成員に対して課税される(パススルー課税)有限責任事業組合が創設されます。
会社設立が容易に
最低資本金制度が撤廃された他、500万円以下の現物出資については検査役の調査が不要となり、金融機関に発行してもらう株式の払込金保管証明も発起人の残高証明書で可能となり、同じ市区町村内での同一営業目的の会社は類似した商号の登記をすることができない類似商号規制などがなくなったことなどにより、新たに会社を設立することも容易になります。
計算書類の改正
「貸借対照表」において資本金の額などを表示していた「資本の部」が「純資産の部」となり表示方法も変わりますし、「利益処分案」が廃止されて期中の株式の増減や配当金の支払いなどを記載する「株主資本等変動計算書」を作成することになります。
そこでこれから何回かに分けて、主に中小事業者(現行の有限会社及び現行の確認有限会社/株式会社)や個人事業者(将来の法人成り)向けとして、又これから起業を考えている方や今回の会社法施行を機に経営形態の簡素化を検討されている現行の株式会社なども対象としまして、この会社法について簡単に説明をしていきたいと思います。

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2006年4月7日(金) 18:14

延滞税の計算方法□平成17年分所得税、消費税用

国税庁のサイトに平成17年分の所得税、消費税(及び地方消費税)用の延滞税を計算できるページができました。

延滞税とは利息のような罰金税でして、納期限までに納付すべき税額を完納できなかった場合には、納期限の翌日から完納の日までの期間について所定の税率により計算した税額を支払うものです。
そしてこの税率が年14.6%(日歩4銭)と現在の公定歩合と比較しますと驚くほどに高いのですが、1日でも早い完納を促す目的からなのでしょう納期限から最初の2ヶ月までは「年7.3%」又は「前年11月30日の公定歩合+4%」のいずれか低い率に設定されています。昨年11月30日の公定歩合は0.1%でしたので、現在は年4.1%ということになります。
(その意味では夏以降ではと噂されている公定歩合の引き上げが気になりますね)

このように延滞税額の計算は非常に複雑なのですけれどもこのページを使いますと、完納した日付と納付すべき税額を入力するだけで簡単に延滞税額がわかりますので、何とか資金繰りをしてやっと完納したけれども延滞税がいくらになるのかの心配はなくなるでしょうか?
ただし注意しなければならないのは、延滞税の計算のもととなる納税額とは納期限までに支払えなかった不足分だけではなくて、納期限までに支払うべき納税額全額ということです。例えば、3月15日までに支払わなければならない所得税額が100万円であったのに、同日までに70万円は支払ったけれども残り30万円がどうしても工面できずに3月25日になってしまった場合には、延滞税はこの3万円ではなく本来の納付税額である100万円に対して、
100万円×4.1%×10日/365日=1,100円(百円未満切捨)
と計算します。

振替納税を手続きをされている方につきましては、平成17年分の所得税の納期限は4月20日(木)、消費税及び地方消費税の納期限は4月27日(木)となっております。この日に残高不足等で引き落としができませんと、以後完納の日までは本来の納期限(所得税は3月15日、消費税は3月31日)からに遡っての日数計算となりますので、事前に指定口座の残高確認をしておいてください。

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2006年4月5日(水) 10:03

社会保険関係のご案内2件

平成18年度の政府管掌健康保険の介護保険料率の変更

政府管掌健康保険の介護保険料率が、平成18年3月分保険料(平成18年5月1日納付期限分)から、1.23%(現在は1.25%)となりますので、3月末締め4月10日支払い分などのお給料の計算時には再確認をしてください。[新料額表"]
ただし、給与支払事務所によりいつの支払い分が5月1日(本来は4月30日ですが、曜日の関係で今回は1日遅れます)納付期限分となるのかが異なりますので、合わせてその確認もしてみてください。

労働保険保険料申告書

労働保険に加入されておられます事業所には既にお手元に濃緑色のA4大の封筒にて労働保険保険料申告書が届いているかと思います。
申告及び納付期間は既に今月1日より始まっており、今年は曜日の関係で5月22日(月)までとなっておりますので、遅れないように手続きを行ってください。
ちなみにこの申告書(3枚複写)は一番下の部分が納付書になっておりますので、納付をする場合には切り離さずにこのままの状態で最寄りの金融機関にてお支払いをすれば合わせて申告書も受領をして、所轄の労働局へはその金融機関から送ってくれますのでご利用ください。ただしこの取扱いは基本的に期限内に手続きを行う場合だけです。

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