個人法人に関わらず業務用に自動車を使うことは多いと思います。
車に関する仕訳は減価償却の処理だけでも結構厄介ですけれども、売買となりますと税金や保険、それに昨年からはリサイクル料も考慮しなければならないので、かなり複雑になりますし、実際に関与先様からご相談を受けることも多い取引です。
更にはそれに消費税が絡んだり、個人事業の場合には譲渡所得の申告もしなければならない場合もありますので、業務用自動車の売買に関する仕訳と注意点についてまとめてみます。
- 1.事例条件
- 事業年度:1月〜12月
- 平成14年12月に100万円で新車の軽自動車を購入(耐用年数4年、定率法:0.438)
- 平成17年12月の車検時にリサイクル料として8,910円を仮払金に計上
- 平成18年11月に40万円で下取り、200万円(下記明細)の普通車に買換え(耐用年数6年、定率法:0.319)
- 付随費用
- 自動車税:14,300円
- 自動車取得税:63,300円
- 自動車重量税:56,700円、税金合計:134,300円
- 自賠責保険:44,190円
- 預りリサイクル預託金:11,410円(シュレッダーダスト料金他)
- リサイクル資金管理料金:380円
- 合計:190,280円
- 2.下取り車の売却仕訳
- 平成14年分減価償却:1,000,000円×0.438×1月/12月=36,500円
- 平成15年分減価償却:963,500円×0.438=422,013円
- ※ 期首簿価:1,000,000円Δ36,500円=963,500円
- 平成16年分減価償却:541,487円×0.438=237,171円
- ※ 期首簿価:963,500円Δ422,013円=541,487円
- 平成17年分減価償却:304,316円×0.438=133,290円
- ※ 期首簿価:541,487円Δ237,171円=304,316円
- 平成18年分減価償却:171,026円×0.438×11月/12月=68,666円
- ※ 期首簿価:304,316円Δ133,290円=171,026円
- 下取り売却時簿価:171,026円Δ68,666円=102,360円
- 売却価格:400,000円Δ8,910円(リサイクル料)=391,090円
- 売却益:391,090円Δ102,360円=288,730円
| 現金 | 400,000円 | / | 車両運搬具 | 171,026円 | 旧車両売却 |
| 減価償却費 | 68,666円 | / | 仮払金 | 8,910円 | 旧車両リサイクル料 |
| | | / | 固定資産売却益 | 288,730円 | 旧車両売却 |
- 3.買換仕訳
- 車両取得価額:2,000,000円Δ190,280円=1,809,720円
| 車両運搬具 | 1,809,720円 | / | 現金 | 1,600,000円 | 新車両購入 |
| 租税公課 | 134,300円 | / | | | 新車両自動車税他 |
| 保険料 | 44,190円 | / | | | 新車両自賠責保険 |
| 仮払金 | 11,410円 | / | | | 新車両リサイクル料 |
| 支払手数料 | 380円 | / | | | 新車両リサイクル料 |
- 4.注意点
- 消費税の課税事業者の場合
- 課税売上高に新車両取得価額 1,809,720円が含まれます
- 課税仕入高に旧車両売却価額 400,000円、支払手数料 300円が含まれます
- また、個人事業主で車両を業務用と自家用で按分使用している場合には、その割合に応じて算入額を計算することになります
- 個人事業主の確定申告
- 業務用車両を売却した場合には、「事業所得」ではなく「譲渡所得」として確定申告をしなければなりません
- 50万円の控除額がありますので、その金額以下の売却益が生じましても課税はされませんが、他にも譲渡所得の対象となる収入がある場合などは注意が必要です
- 所有期間が5年以上か否かにより課税処理が異なります
追伸:本日拙事務所の車が
財布にやさしい青から
地球にやさしい赤に変わりました。