込江保次税理士事務所■横浜市栄区・鎌倉市大船

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2006年4月18日(火) 08:52

シリーズ新会社法□計算書類の改正他

会社法では計算書類と呼ばれている「貸借対照表」「損益計算書」「利益処分案」「営業報告書」についても改正が行われます。以下、改正が行われる内容について個々に説明をします。
貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」に変わります
「貸借対照表」において資本金の額などを表示していた「資本の部」が「純資産の部」となり、表示方法も以下のように変わります。
「純資産の部」記載例
1 株主資本
 1. 資本金
 2. 資本剰余金
  1) 資本準備金
  2) その他資本剰余金
 3. 利益剰余金
  1) 利益準備金
  2) その他利益剰余金
 4. 自己株式
2 評価・換算差額等
 1. その他有価証券評価差額金
 2. 繰延ヘッジ損益
 3. 土地再評価差額金
 4. 為替換算調整勘定
3 新株予約権
4 少数株主持分
利益処分案が「株主資本等変動計算書」に変わります
「利益処分案」が廃止されて期中の株式の増減や配当金の支払いなどを記載する「株主資本等変動計算書」を作成することになります。これまで利益の配当は決算期及び中間期の年2回しかできませんでしたけれども、会社法では回数に制限がなくなり株主総会の普通決議によりいつでも剰余金の配当を行うことができるようになるために、それに対応できる目的で「株主資本等変動計算書」に取って代わることになりました。
「個別注記表」の追加
今までは「貸借対照表」や「損益計算書」に記載をされていた注記事項ですが、「個別注記表」と言う別の計算書類により注記事項として12項目が定められたものが作られて、すべてをこちらにまとめて記載することになります。その中で会計監査人設置会社以外の非公開会社である中小会社は12項目のうち、「重要な会計方針に係る事項」「株主資本等変動計算書に関する注記」と「その他の注記」の3項目だけが必須となります。
「営業報告書」が「事業報告」に変わります
商法で使われていた「営業」と言う言葉が会社法では「事業」に置き換えられることから、これまでの「営業報告書」に変わって「事業報告」という書類になり、社外役員に関する事項や会計監査人に関する事項など新たな記載事項が増えております。またこの「事業報告」は計算書類から外れたために、会計監査の対象外となります。

これだけでも実務的には決算での作業負担は少なくないと思いますけれども、既に一部は今年度の税制改正として施行されておりますが、来年度以後も法人税法や消費税法などの関係税法においては会社法の施行に伴う改正が行われると思いますので、それらについても対応する必要があります。

例えば資本金の額により中小企業に該当した場合に適用を受けることができた法人税法の「交際費の1割加算」や「減価償却資産の即時償却」、消費税法の「新設法人の納税義務の免除の特例」などは最低資本金制度が撤廃されたことによってどうなるのでしょう?

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2006年4月17日(月) 09:16

シリーズ新会社法□定款自治の徹底

機関設計の他、株式譲渡の制限の有無、役員の任期や責任の範囲、株主総会の招集や議決権に関することなども、その会社自身で決めることができるようになると同時に、定款に記載することにより徹底させる必要があります

本当にいろいろな内容についてを決めることができますが、ここではやはり「大会社以外の非公開会社」に絞って実務上で関係が深いと思われる内容を取り上げてみます。参考までに関係条文を記載しましたので、ご興味があれば確認をしてみてください。
株式譲渡制限(第139条)
株式会社が発行する株式は原則として自由に譲渡することができますけれども、会社の買収などを避けて安定経営をするためなどに発行株式の全部又は一部を譲渡する場合に株主総会又は取締役会の承認を必要とする譲渡制限を設けることができます。
株券の発行(第214条)
会社法では原則として株券を発行をしなくて良いことになっていますが、定款で定めることにより発行することができます。ただし、株券を発行した場合にはそれに伴う事務手数や経費などが掛かるために、特別な理由がないのであれば原則通り発行をしない方が良いでしょう。
株主総会の招集通知期間(第299条)
非公開会社の場合は通常1週間前までと定められている株主総会の招集通知を、定款で定めることにより期間を短縮することができます。
株主総会の議決要件(第309条他)
株主総会により議決権の過半数により決議の割合も、定款で定めることによりその割合を変更することができます。
会計参与、監査役などの設置(第326条)
取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会は、定款に定めることにより設置することができます。
取締役の資格(第331条)
取締役には株主でなくてもなることはできますけれども、非公開会社においては定款で定めることにより株主以外の者は取締役になることができないとすることができます。
取締役、監査役、会計参与の任期(第332条他)
取締役及び会計参与の任期は2年、監査役は4年が原則ですけれども、定款で定めることによりいずれも最長10年までとすることができます。
取締役の業務執行(第348条)
取締役の業務執行の内容については、定款で定めることができます。
監査役の権限(第389条)
非公開会社は監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定するように、定款で定めることができます。
少数株主権の要件緩和(第433条他)
議決権の100分の3以上を有する株主は、株式会社の営業時間内であればいつでも会計帳簿などを閲覧する権利がありますが、この割合を下げることを定款で定めることができます。
公告方法(第939条)
日刊紙や電子公告(ホームページ)により公告を行う場合には、定款で定める必要があります。更に電子公告による場合には定款にそのURLも記載しなければなりませんし、公告期間も5年間継続して公開していなければなりません。

上記の内容はいずれもそれが記載された定款を株主総会で承認されることより初めて有効となりますので、その株主総会の議事録を作成して保管しておいてください。

また「特殊支配同族会社」に該当しますと、平成18年4月1日以後に開始する事業年度からは、業務主宰役員の役員報酬の内給与所得金額控除相当額は経費と認められないことになります。そうならないためには特殊支配同族会社に該当しないような議決権に関する定めを設けるなど、節税対策としてもこの機会にご検討されるのがよろしいかと思います。

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2006年4月14日(金) 11:08

シリーズ新会社法□会社の分類と機関設計の自由化

会社法においては有限会社は廃止されて株式会社に統合されました。一口に株式会社と言っても実質的には社長お一人の会社から世界の有名大企業までさまざまですので、会社法では株式会社を次の2つの方法により分類しています。
大会社か中小会社(大会社以外の会社)か
大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上又は負債総額が200億円以上の会社をいい、上場されているか否かは関係がありません。そして大会社は会計監査人の設置が義務付けられており、会計監査人を設置するためには監査役又は監査役会か三委員会のいずれかを設置しなければなりません。
公開会社か非公開会社(公開会社以外の会社)か
取締役会等の承認を受けることなく発行する株式の全部又は一部を譲渡することができる会社を公開会社といい、公開会社には取締役会の設定が義務付けられております。

「機関」とは、簡単に言えば会社を動かすための組織のことで、その基本的な構成は最高意思決定機関である「株主総会」、業務執行機関である「取締役」、監査機関である「監査役」になるかと思います。それが会社法ではかなり自由に決めることができるようになり、すべての組合せは何通りあるのかわからないほどです。
このシリーズでは中小事業者や個人事業主を対象としておりますので「大会社以外の非公開会社」に絞ってみますと、一番簡素な機関は現行の有限会社と同様に「取締役」だけの場合です。これに計算書類の信頼性を高めるなどの目的で「監査役」や「会計参与」を追加したり、取締役を3名以上として「取締役会」を設置することが考えられます。

「会計参与」はすべての場合に設置をすることが可能ですし、「監査役」や「委員会」を設置した場合にはそのお目付役として「会計監査人」を置くこともできます。
「取締役会」を設置する場合には、「監査役」(若しくは「監査役会」)又は「会計参与」を必ず設置しなければなりませんし、「委員会」を設置したりすることもできます。
これらの組合せをまとめると以下のようになります。

取締役(+会計参与)
取締役+監査役(+会計参与)
取締役+監査役+会計監査人(+会計参与)
取締役会+監査役(+会計参与)
取締役会+監査役+会計監査人(+会計参与)
取締役会+監査役会(+会計参与)
取締役会+監査役会+会計監査人(+会計参与)
取締役会+会計参与
取締役会+委員会+会計監査人(+会計参与)
※ 上記のいずれの場合にも更に「会計参与」を設置することができます

これから会社の設立をされる場合は勿論ですけれども、既に存在している会社についても会社法施行以後(平成18年5月1日以後)にはその「機関」を適したものに再編成を行うことができるわけですので、決算後の定時株主総会の際などに一度はご検討されることをお薦めいたします。

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2006年4月13日(木) 09:48

シリーズ新会社法□会社設立が容易に

会社法が施行されたことより新たに株式会社を設立することが今までと比べて容易になりました。具体的には以下のような項目が改正となります。
最低資本金
最低資本金制度が撤廃したことにより、これまでは設立時に株式会社の場合には最低でも1000万円と言う大金でしたけれども、それが資本金1円でも株式会社を設立することができるようになります。ただし資本金は会社の規模や信用を示す数字ですし、本当に1円では設立登記に必要な15万円の登記印紙代を払うことができませんのでやはり相応の資本金は必要でしょう。
類似商号規制
同じ市区町村内での同一営業目的の会社は類似した商号の登記をすることができない類似商号規制などがなくなったことにより、公証人役場での定款認証の前に法務局にて類似商号の確認を行う必要がなくなります。しかし同地区の同業社から訴訟等を受ける可能性はありますので、商号(法人名)を決める際はある程度の事前確認は必要になると思います。
払込金保管証明
昨今の法人の設立に際して一番問題となっておりました金融機関に発行してもらう株式の払込金保管証明が、発起人だけの出資によって会社が設立される発起設立の場合には金融機関の残高証明書によることが可能となりますので解決されます。
少額現物出資の制限の緩和
今までも資本金の5分の1以下の範囲内で500万円以下の現物出資については検査役の調査などが不要でしたけれども、会社法では単純に「500万円以下」となりますので、時間も費用も大幅に節約できることになります。
原始定款の記載事項
今まで原始定款に記載しなければならなかった「会社が発行する株式の総数」や「会社設立に際して発行する株式の総数」は会社成立の時までに決定すれば良いことになりますし、「公告の方法」も定款に定めなくても良くなります。ただし、定款に定めがない場合には官報公告によることになります。

来年にはいわゆる一人会社の役員報酬についてその一部を経費と認めないという法人税法の改正が行われますので、現状個人事業として行ってこられたものをそのままの形態で法人成りするのでは節税目的としましては難しいようですし、簡単に会社を作ることができるようになるとは言いましてもやはりいろいろなことを検討されることが大切です。

また登記に関しましてはインターネット登記情報提供サービスでも確認できますので、商号の検索などにご利用してみてください。

※ 決算公告について
株式会社は定時株主総会の終結後貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告しなければなりませんが、中小会社が官報又は日刊紙に公告をする場合には貸借対照表の要旨だけでよく、現行の有限会社のまま有限会社を商号とする特例有限会社ならば公告義務自体がありません。又、ホームページでの公告も可能ですけれども、この場合には定款にそのホームページのURLを記載しなければなりませんし、かつ5年間継続して公開をしなければなりません。
ご参考までに官報掲載の場合の料金は、2枠で59,126円、3枠だと88,689円ですので、金額だけを考えるならばホームページを利用するのが良いようですけれども、貸借対照表の要旨ではなくすべてを5年間継続して公開しなければなりませんのでどちらが良いかは難しいところです。
決算公告は株式会社の義務ですので、合同会社については不要です

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2006年4月12日(水) 17:57

シリーズ新会社法□「新会社法」って何?

現在「会社法」と言う名の法律はなく、「商法第2編(会社)」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)」及び「有限会社法」を統合して新たに「会社法」としてつくられたもので、平成17年6月27日に公布され、平成18年5月1日施行される全979条からなります。

この会社法の主な特徴だけでも以下のように多岐に渡る内容があります。
口語体表記
「本法ニ於テ会社トハ商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団ヲ謂フ」(商法第52条)のような文語体が「会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる」(会社法第1条)のように口語体表記となり、非常に読みやすく又わかりやすくなります。
有限会社の株式会社への統合
会社法の施行により有限会社が設立できなくなり、以後はすべての会社組織(合同会社を除く)は株式会社しか設立することができなくなります。
最低資本金制度の撤廃
通常の設立の場合、株式会社は1000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金が必要でしたが、最低資本金制度が無くなり資本金1円でも株式会社を設立することができるようになります。
会計参与制度の創設
これまでも株式会社には設置しなければならなかった監査役とは別に、新たに会社の内部機関として取締役とともに会社の計算書類を作成する任務を負う会計参与という役員を設置することができるようになります。
機関設計の自由化
これまでの株式会社では取締役3名以上、監査役1名以上を設置しなければなりませんでしたけれども、有限会社のように取締役1名だけでも株式会社を経営できるなどその会社の機関を会社自身で自由に決めることができるようになります。
定款自治の徹底
機関設計の他、株式譲渡の制限の有無、役員の任期や責任の範囲、株主総会の招集や議決権に関することなども、その会社自身で決めることができるようになると同時に、定款に記載することにより徹底させる必要があります。
合同会社制度の創設
日本版LLC(Limited Liability Company)と呼ばれる法人格を持ちながらも出資者の合意によって内部組織や利益配分の方法などをかなり自由に決めることができる合同会社や、既に昨年8月に先行して施行されたLLP(Limited Liability Partnership)と呼ばれる法人格を持たずに組合の構成員に対して課税される(パススルー課税)有限責任事業組合が創設されます。
会社設立が容易に
最低資本金制度が撤廃された他、500万円以下の現物出資については検査役の調査が不要となり、金融機関に発行してもらう株式の払込金保管証明も発起人の残高証明書で可能となり、同じ市区町村内での同一営業目的の会社は類似した商号の登記をすることができない類似商号規制などがなくなったことなどにより、新たに会社を設立することも容易になります。
計算書類の改正
「貸借対照表」において資本金の額などを表示していた「資本の部」が「純資産の部」となり表示方法も変わりますし、「利益処分案」が廃止されて期中の株式の増減や配当金の支払いなどを記載する「株主資本等変動計算書」を作成することになります。
そこでこれから何回かに分けて、主に中小事業者(現行の有限会社及び現行の確認有限会社/株式会社)や個人事業者(将来の法人成り)向けとして、又これから起業を考えている方や今回の会社法施行を機に経営形態の簡素化を検討されている現行の株式会社なども対象としまして、この会社法について簡単に説明をしていきたいと思います。

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