込江保次税理士事務所■横浜市栄区・鎌倉市大船

2006年4月17日(月) 09:16

シリーズ新会社法□定款自治の徹底

機関設計の他、株式譲渡の制限の有無、役員の任期や責任の範囲、株主総会の招集や議決権に関することなども、その会社自身で決めることができるようになると同時に、定款に記載することにより徹底させる必要があります

本当にいろいろな内容についてを決めることができますが、ここではやはり「大会社以外の非公開会社」に絞って実務上で関係が深いと思われる内容を取り上げてみます。参考までに関係条文を記載しましたので、ご興味があれば確認をしてみてください。
株式譲渡制限(第139条)
株式会社が発行する株式は原則として自由に譲渡することができますけれども、会社の買収などを避けて安定経営をするためなどに発行株式の全部又は一部を譲渡する場合に株主総会又は取締役会の承認を必要とする譲渡制限を設けることができます。
株券の発行(第214条)
会社法では原則として株券を発行をしなくて良いことになっていますが、定款で定めることにより発行することができます。ただし、株券を発行した場合にはそれに伴う事務手数や経費などが掛かるために、特別な理由がないのであれば原則通り発行をしない方が良いでしょう。
株主総会の招集通知期間(第299条)
非公開会社の場合は通常1週間前までと定められている株主総会の招集通知を、定款で定めることにより期間を短縮することができます。
株主総会の議決要件(第309条他)
株主総会により議決権の過半数により決議の割合も、定款で定めることによりその割合を変更することができます。
会計参与、監査役などの設置(第326条)
取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会は、定款に定めることにより設置することができます。
取締役の資格(第331条)
取締役には株主でなくてもなることはできますけれども、非公開会社においては定款で定めることにより株主以外の者は取締役になることができないとすることができます。
取締役、監査役、会計参与の任期(第332条他)
取締役及び会計参与の任期は2年、監査役は4年が原則ですけれども、定款で定めることによりいずれも最長10年までとすることができます。
取締役の業務執行(第348条)
取締役の業務執行の内容については、定款で定めることができます。
監査役の権限(第389条)
非公開会社は監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定するように、定款で定めることができます。
少数株主権の要件緩和(第433条他)
議決権の100分の3以上を有する株主は、株式会社の営業時間内であればいつでも会計帳簿などを閲覧する権利がありますが、この割合を下げることを定款で定めることができます。
公告方法(第939条)
日刊紙や電子公告(ホームページ)により公告を行う場合には、定款で定める必要があります。更に電子公告による場合には定款にそのURLも記載しなければなりませんし、公告期間も5年間継続して公開していなければなりません。

上記の内容はいずれもそれが記載された定款を株主総会で承認されることより初めて有効となりますので、その株主総会の議事録を作成して保管しておいてください。

また「特殊支配同族会社」に該当しますと、平成18年4月1日以後に開始する事業年度からは、業務主宰役員の役員報酬の内給与所得金額控除相当額は経費と認められないことになります。そうならないためには特殊支配同族会社に該当しないような議決権に関する定めを設けるなど、節税対策としてもこの機会にご検討されるのがよろしいかと思います。

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