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<改正税法> 上場株式の譲渡に対する課税について |
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| 平成15年1月1日よりいわゆる証券税制が大きく改正されます。本当に多岐に渡っておりますし、そもそも有価証券の譲渡自体が所得税的にはとても複雑でありますので、ここでは最も一般的な「上場株式の譲渡」に焦点を絞ってまとめてみました。 特に譲渡の予定がある場合には、今年中に譲渡した方が有利なのか、それとも改正後が有利なのかの判定方法まで書いてありますので是非参考にしていただければと思います。 |
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| ● 平成14年12月31日までに上場株式を譲渡した場合 課税の方法には自身の確定申告に申告分離課税と取引ごとに源泉所得税の形で証券会社が天引きをする源泉分離課税があります。 |
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| 1.申告分離課税の税額計算 |
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- [(譲渡対価 − 取得費 − 譲渡費用 − 借入金利子等)− 特別控除 ]×20%
- ※ 用語の説明
- 譲渡対価:上場株式の譲渡価額
- 取得費:譲渡した上場株式の取得に要した金額(取得手数料など)を含む取得価額が不明等の場合には、概算取得費として譲渡対価の5%とすることができます
- 譲渡費用:譲渡に要した金額(委託手数料など)
- 借入金利子等:借入をして譲渡した上場株式を取得した場合には取得から譲渡までの間に掛かった利息も経費として計上できます
- 特別控除:平成13年10月1日から平成17年12月31日までの間に1年を超えて所有した上場株式を証券会社を通じて譲渡し、申告分離課税を選択した場合には、譲渡益(「()」内の金額)から100万円を控除できます
ただし、この適用を受けるには税額が0円となっても確定申告をしなければなりません
- ※ この他に6%の住民税が課されます
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| 2. 源泉分離課税の税額の計算
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- 譲渡対価 × 5.25% × 20% (即ち、譲渡対価 × 1.05%)
- ※ 譲渡対価の5.25%を譲渡利益金額と言い、1の申告分離課税の場合での 譲渡益を簡便的に求めたものとして20%の税率を乗じて求めています
- ※ 住民税は非課税です
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| 3.留意点 |
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- 1.の申告分離課税を選択した場合には、譲渡益がマイナスになった場合、即ち「
譲渡損」が生じた場合には、税額は0円となりますが、その場合であっても2.の源泉分離課税を選択した場合には税額が生じます。
- ですから事前に譲渡益が出るかどうかの判定をしっかりとすることが大切です。
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| 4. 確定申告 |
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- 1.の申告分離課税を選択した場合には確定申告をする必要がありますが、2.の源泉分離課税を選択した場合には証券会社などで上記の所得税額が天引きされるだけで確定申告をする必要はありません。
- 確定申告には確定申告書の他に「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に関する明細書」を添付する必要があり、譲渡対価や取得費などの明細を記載します。
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| 5.選択の手続 |
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- 何も選択をしなければ原則は1.の申告分離課税を選択して税額の計算を行います。
- 1.の源泉分離課税の選択したい場合には、その選択を受けようとする上場株式の譲渡の時(通常売買契約の成立の日から起算して4営業日目)までに証券会社の営業所を経由して納税地の所轄税務署長に、「上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税の選択申告書」を提出しなければなりません。
- そしてその申告書は、一度提出をした後は源泉分離課税の選択を取りやめる旨の「廃止申告書」を提出するまでは、すべての取引に対して有効となりますので必要であれば1.の申告分離課税を選択したい上場株式を譲渡する時までに証券会社の営業所を経由して納税地の所轄税務署長に提出してください。
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| ● 平成15年1月1日以後に上場株式を譲渡した場合の改正点 証券税制についてはこの日を境に大きく変わりますが、ここでは上場株式の譲渡に関するもの絞りましたので、それ以外についてもお知りになりたい方は国税庁のホームページなどをご参照ください。 |
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| 1.源泉分離課税の廃止 |
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- 平成15年1月1日以後に譲渡した上場株式についてはすべて申告分離課税により課税されることになります。
- 即ち、確定申告書を提出しなければなりません。
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| 2.税率の改正 |
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- それまでの一律26%(所得税:20%の、住民税:6%)の税率が軽減されます
- (1) 平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に譲渡した場合
- 1. 譲渡の日におけるその上場株式の所有期間が1年以内
- 所得税:15%、住民税:5% → 合計:20%
- 2. 譲渡の日におけるその上場株式の所有期間が1年超
- 所得税:7%、住民税:3% → 合計:10%
- (2) 平成18年1月1日以後に譲渡した場合
- 所得税:15%、住民税:5% → 合計:20%(所有期間不問)
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| 3.取得費の特例 |
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- 平成13年9月30日以前に取得した上場株式を平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡した場合には、平成13年10月1日の時価の80%を特例取得費として適用することができます。
- この度国税庁のホームページに公表されましたので、ご利用ください。
- ※ 実際の取得費よりも大きい場合には有利になります。
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| 4.譲渡損失の繰越控除 |
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- 平成15年1月1日以後に譲渡した上場株式について譲渡損が生じた場合で、同じ年の株式の譲渡益と相殺してもなお損失がでる場合には、その相殺後の損失を譲渡をした翌年以後3年間の株式の譲渡益と相殺をすることができます。
- ※ 今までは譲渡損が出た年に他の株式の譲渡益と相殺しても出た損失については、その損失は生じなかったものされていました。
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| ● 実際に譲渡をする場合の有利不利の判定 それでは以上を踏まえまして、実際に上場株式を譲渡すると言うことになった場合には果たしていつのタイミングで行うのが税額の面で有利になるのかの判定の方法について書いてみます。 |
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| 1.判定のための準備 |
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- まず対象となる上場株式についての資料を集めましょう。具体的には、
- ・取得の日
- その上場株式を取得した日を調べてください。
- 相続や贈与などによって取得した場合には被相続人や贈与者が取得した日が取得の日となりますので、ちょっと調べるのが大変です。
- ・取得費
- その上場株式を取得した際に支払った金額などで当時の領収書などです。
- 相続その他で取得したなどによりわからない場合には、概算取得費又は取得費の特例により計算をすることにします。その為には平成13年10月1日の時価も調べておく必要があります。国税庁のホームページに公表されましたのでご利用ください。
- ・借入金利子等
- 借入金がある場合にはそれに対応する支払利息の金額を計算しておきます。
- ・譲渡対価
- 取りあえず参考のために現状での時価を調べましょう。
- ・譲渡費用
- これも取りあえず概算になりますが証券会社に聞いて教えてもらいましょう。
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| 2.譲渡損が出る場合 |
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- 1で集めた情報により 譲渡対価 と 取得費+譲渡費用+借入金利子等 とを比べて譲渡対価が小さくなれば申告分離課税を選択する方が有利です。
- ※ ここでの取得費は 実際の取得費 か 譲渡対価の5%の概算取得費 で計算をした結果で判定をしてください。
- ですから証券税制の改正を気にすることなく、お好きな時期に譲渡をしても税額の面ではなることはありません。
- ただし、平成14年中に譲渡をする場合には「上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税の選択申告書」を提出していないことを確認して、提出されている場合には、「廃止申告書」を提出してください。
- 又、取得費+譲渡費用+借入金利子等+100万円が譲渡対価よりも大きくなる場合も申告分離課税を選択すれば税額が出ませんのでやはり有利となります。
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| 3.譲渡益が出る場合 |
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- 100万円の特別控除を適用しても譲渡益が出る場合には、申告分離課税と源泉分離課税のどちらが有利かを実際に税額の計算をして比べることになります。
計算方法につきましては、「● 平成14年12月31日までに上場株式を譲渡した場合」の項を参考にしてください。 この場合、以下の2つの場合について計算をします。
- (1) 申告分離課税を選択する場合
- ※ 取得費は特例取得も含めて最も大きな金額を用いてください。
- ※ 税率は所有期間に応じて20%又は10%を用いてください。
- (2) 源泉分離課税を選択した場合(平成14年中に譲渡する)
- その結果により、いつ譲渡するのが有利かを判定します。
- ・ (1)の場合の方がが税額が小さくなったとき
- 来年以降に譲渡をするのが税額の面では有利となりますので、あとは株価の変動などを見ながらじっくりと譲渡する時期を判断すれば良いかと思います。
- ・ (2)の場合の方が税額が小さくなったとき
- 平成14年中の譲渡をするのが税額の面では有利となりますが、株価の変動などについての分析をすることも大切です。
- 勿論、「上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税の選択申告書」を提出していることの確認を忘れないでください。
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| 4.複数の銘柄の上場株式を譲渡する場合 |
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- この場合には各銘柄ごとに譲渡損益の計算をする必要がありますが、更に来年からは「譲渡損失の繰越控除」がありますので、株価や譲渡の時期などいろいろな要因を勘案しなければなりません。
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| 以上、平成15年1月1日から施行となる証券税制の大改正の中から上場株式の譲渡に関連のある部分についてまとめてみました。 譲渡のタイミングなどの判断も含めてお役に立てれば幸いです。 具体的なご質問などがございましたならばお気軽にお問い合わせください。
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